内語について

書く冒険への誘い

内語について

言葉と私013

内語をご存じですか? 僕たちの頭の中で普段使っている言葉です。あなたは口からしゃべる言葉の他に、頭の中に別の言葉を巡らせていませんか? たとえばこんな風に。

向こうから先生がやってきました。

内語    : しまった先生が来る。

実際の言葉 : おはようございます。

先生    : おはよう。宿題はやった?

実際の言葉 : はい、もちろん。

内語    : あんな問題出すなんてずるいよ。

先生    : 勉強になっただろう。

実際の言葉 : もちろんです、ありがとうございました。

内語    : 面倒なだけで勉強になんかならないよ。時間がかかっただけだ。

なんて具合です。漫画なんかによく出てきますよね。実際の言葉と思っていることが違うこと。そして、内語を使っているとき、そのことを本人も意識してないことがあります。それから、内語がまだ言葉にはなっていない「思いだけ」の状態もありますよね。イヤだなぁとは思いつつ、口ではいいことを言っているような状態のとき、そうなりやすくないですか? 心の中ではもやもやしているのに、言葉だけ他人の耳障りのいいことを言っている状態です。

内語を使っていることを本人が意識していると、自分の欲望と言っていることが分離してストレスになります。このストレスは、まだ意識できているだけ軽いストレスです。意識できてないと次第に自分の欲望が何かわからなくなります。ときどき自分が何を食べたいのか、何がしたいのか、誰が好きなのか、わからないという人がいます。長いあいだ内語と実際に話していることとの乖離を放置しておくとそうなることがあるようです。そういうときは自分の感情をはっきりと出してみて下さい。なんでも夢中にやるのがいいでしょう。たとえば、夢中に走るとか、夢中に踊るとか、夢中に歌うとか。どんなことでも構いません。しばらくそういうことをしていると、ほぐれてきて自分の感覚が取り戻せます。もちろん吐き出したい思いを文章にするのもいいですね。急に効果がでるものではないので、時間をかけてやってみてください。

自分は内語を使っていると意識したら、それと実際の行動とのギャップを感じてみて下さい。感じるだけで結構です。

文章のデッサンは、この内語をすべて文章にしてしまうための方法なのです。必死に素早く文章を書いているとき、内語は働く暇がありません。その状態で文章を書いていくといつのまにか隠していたはずの内語が文章に零れ落ちたりします。

「内語はよくない」と考え、表現している言葉と内語とを一致させようとする人がいますけど、それはしなくて結構です。それはすればするほどストレスになっていきます。「サルの赤い尻状態」になっていきます。「サルの赤い尻状態」がわからない方は、こちらを読んで下さい。

内語は生まれるものです。それをただ認めて上げて下さい。

自分の内側にあまり敏感になりすぎると「サルの赤い尻状態」になってしまいます。いま感じることを素直に感じて下さい。「ああかこうか」と考えれば考えるほど、いまを感じることができなくなります。

Tags: , , ,