力を与える言葉

書く冒険への誘い

力を与える言葉

言葉と私023

「言葉のプレゼント」のページで、とても簡単に「力を与える言葉」について触れました。「与える相手が元気づけられる言葉のこと」というふうに説明しましたけど、ここではそれをもっと詳しく考えていきましょう。

まずは「力を与える言葉」と考えるより、どんな言葉に自分は力づけられるのかを考えるとわかりやすいかもしれません。あなたはどんな言葉に力づけられますか? きっといろいろな言葉に力づけられていると思います。

ヒーリング・ライティングのワークショップだとここで「みなさんはどんな言葉に力づけられましたか?」と質問するところですが、サイトだとそれがしにくいので、僕が力づけられたときのことをここに書きますね。

いろんな体験がありますけど、力づけられるときに共通しているのは、その言葉をかけてくれた人のことを信頼できるかどうかです。相手が信頼できる人で、かつこんな言葉をかけられると力づけられます。

1.共感を表現してくれる。

2.僕の存在を認めてくれる。または高く評価してくれる。

3.信頼してくれていること、または愛してくれていることを伝えてくれる。

4.悲観的なときに前向きになれるリフレーミングを与えてくれる。

5.一緒に未来のビジョンを作ってくれる。

これ以外にも何かあるでしょうか? もしあったらぜひここのコメント欄に書き込んでみてください。

この1.から5.を、与えてもらう言葉ではなく、自分が誰かに与える言葉だとしたら、こんなふうに表現できますね。

1.共感を表現する。

2.相手の存在を認める。または高く評価する。

3.相手に対する信頼や愛情を表現する。

4.悲観的な相手に前向きな意識を生み出すリフレーミングを伝える。

5.相手と一緒に未来のビジョンを作る。

ここで問題なのは、「それをすれば力を与えられる」と思い込むことです。「力を与える言葉」はそんなに簡単ではありません。たとえば1.の「共感を表現する」ですが、共感してないのに共感したふりをしても、全然力を与える言葉にはなりません。下手をするとかえって力を奪う言葉になってしまうかもしれません。

力づけられる言葉をもらうとき、僕は相手をきっと信頼しているでしょう。その信頼を裏切るようなことをしては、力を与える言葉にはなりません。共感は「したふり」では生まれないのです。もし「共感したふり」をするのであれば、共感しない方がいいくらいです。共感をウソで作ることはできないのです。もし共感できないのであれば、共感できるまで待つことです。共感ができるように質問するのもいいかもしれません。まずは相手の話に耳を傾けること。きちんと話を聞いてもらうことができると、それだけでも力づけられることがあります。そして話を聞く側は、共感が生まれるのを落ち着いて待つことです。そうすると、共感がたとえ生まれなくても、相手は安心して力づけられることがあります。

もし相手を値踏みしたり、正しいか間違っているかの判断をしながら聞いていると、相手は次第に落ち着かなくなり、相手もあなたのことを判断し始めるでしょう。判断は判断を生みがちです。共感が生まれるかもしれない話の聞き方とはどんなものか、考えて、感じてみてください。それはきっと2.の「存在を認める」ような聞き方なのでしょう。

たとえば3.ですが、日本人はなかなか相手に対する信頼や愛情を口では表現しないものでした。言葉だけでは信頼してもらえるかどうかわからないからでしょう。言葉で言う代わりに普段の態度で表現していたのかもしれません。

こう考えてくると「力を与える言葉」は、単なる言葉ではないようです。状況によっては一言、「わかった」というだけで充分に力づける言葉になることもあるでしょう。どういう言葉が力づける言葉となるのか、自分なりに考えてみてください。きっと答えはひとつだけではないはずです。

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